「未経験だけど経理の仕事をしてみたい」
と思っているあなたへ。
同シリーズ(その1)の続きです。
(その1)では、何とか経理の仕事に最初の足がかりをつけるまでを書きました。
ここからは、実際にお仕事をする上で私が感じた事を書いていきます。
もくじ
- <決算期は時間的・精神的にハード>
- <消費税について基礎知識はもっておこう>
- <法人税や社会保険についての大枠を理解しておく>
- <職場編:会計事務所、税理士事務所はクセ者の巣窟!?>
- <職場編:事業会社の経理は軽んじられがち!?>
- <それでも経理は面白い>
<決算期は時間的・精神的にハード>
経理担当者が最もキツい時期、それは決算処理をする時期です。
(同時に、最も勉強になる時期でもあるのですが)
だいたいの会社は、決算前月の末までに営業担当が頑張って数字をとってきたり、
それに伴い経費を使ったりする→翌月初めから、経理担当者が必死に集計、
締め切りまでに決算処理をする→という流れかと思います。
(まあ、月中にも随時できれば一番いいんですけどね)
会社の体制にもよりますが、通常月より処理が大量に増えて残業が続く事も
多くなったりします。悩む処理や難しい処理にも一番直面する時期です。
この時やったそれぞれの会社の決算処理については、
よく覚えておくようにしましょう。会計・経理のエッセンスが詰まってます。
(って毎回「うーん」となるのですが)
3月決算だったら、4月はもう、ヘロヘロです。
遊びの約束も入れられません…
(個人差があります)
<消費税について基礎知識はもっておこう>
消費税?いま8パーセントだよね?
仮払消費税と仮受消費税の決算振替処理はわかるよ!
くらいで経理のお仕事に入った私。もちろん大変な目にあいました。ええ。
消費税の課税・非課税の要件について、理解していますか?
取引先が送ってきた請求書の消費税は合っていますか?(これも確認する立場)
間違っていることもあるんです。
「チェックしてね(分かっている前提)」
と渡された証憑や伝票の何を見ればいいのかわかりませんでした。
(あれっ?これって、なんで非課税になってるんだろう…?うわ、聞けない雰囲気ー…)
なので、「消費税法」をあるていど学びましょう!!!
職場でいちいち教えてくれません。教えるにはボリュームが多過ぎますし。
それどころか、質問されます。「なんで、これ課税って思ったの?」
Σ(゚д゚lll)
自分がそう考えて処理した根拠を説明できないとスキル不足と思われてしまいます。
勉強方法は、税理士試験レベルまではやらなくていいので、
「全経消費税法2級」というのを取得するのをお勧めします。
試験は年2回、10月と2月です。
受験費用も2000円〜3000円程度と安いです。
申し込みはネットでするのがスムーズです。
試験会場が少ないので、受付が始まったらすぐに申し込みをした方がいいです。
これです↓
https://www.zenkei.or.jp/license/consumption.php
あと、関連書籍だと、金井恵美子先生の本も丁度良くまとまってます。
私はこれが一番好きです↓
「できる!」経理担当者入門 一夜漬け消費税 (改訂版)↓
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784419060787
実際、経理担当者間でも、
「この経費は消費税課税か非課税か不課税か」で
意見がわれて検討する場合はあったりするので、そういう時に自分なりの考えを
持てる程度までにはなっておくと、気持ち的に楽です。
「質問振られたらどうしよう!?」と思わなくて済むので。
<法人税や社会保険についての大枠を理解しておく>
これも、「普通知ってるでしょ」と思われる部分が多いジャンルです。
でも、未経験だったり大きな企業で働いていて部分的な経験しかなかったりする場合、
普通は知りませんよね。
税務だと
・給与から源泉徴収した所得税の納付の期限
・給与と支払報酬の所得税の違い
・消費税の課税事業者の要件、中間納付が必要な場合、納付期限
・法人税の中間納付が必要な場合、納付期限、会計の収益・費用と、
税務の損金・益金の違い(大体でもいいですが)、
固定資産計上が必要なものとは、・経費にした方がいいものとは
・国税と地方税の違い
だったり、
社会保険だと
・社会保険には何があって、
個人負担と会社負担の割合はどうなっているか、納付の期限は
など、大枠だけでも知らないと、最悪、納付を忘れるという事態
(延滞税というのがかかったりします)を起こしかねないので、本などで自習するもよし、
講座に行くもよし、確認しておくようにしましょう。
(私は、TACで30時間ほどの税理士さんによる講座を受けました。
お金はかかったけど、ほんと受けといて良かった)
顧問税理士さんがいる会社は、全部任せられるかもしれませんが、
話ができる程度の知識はあった方が自分も助かります。
※税務についての基礎知識の学習はこのシリーズがおすすめです。
「演習法人税法」清文社 ↓
http://www.skattsei.co.jp/search/063958.html
社会保険については・・・社会保険労務士レベルの知識まで必要な事は稀なんですよね。
TACの講座のテキスト以外でちょうどいいレベルのものが、いま見当たりません。
見つけたら報告します。
<職場編:会計事務所、税理士事務所はクセ者の巣窟!?>
私が経理関係の仕事をしていて一番大変だった職場、それは、会計事務所です。
(経理での転職経験者からもよく聞く話です)
何も知らない時、第一印象としては、堅実な仕事内容っぽいし、
小規模で家族的で落ち着いて仕事できるんじゃないか、と思っていました。
…とんでもない間違いでした。
(士業の事務所界隈は、どこも似たような話があるとも聞きますが)
何が大変って以下のような事です。
・税理士業務を行うにあたり必要な、税理士試験や公認会計士試験は、競争試験であり、
その頃から、同じ教室の人間は友達というより皆ライバル同士だった。
・だからか? 新人に「教える」という文化がない事務所が多い。
・でも間違えると(信用に関わるし)ものすごく怒られる。
・一緒に働いている人たちも「同僚」というより良い仕事を取り合う「ライバル」
基本、税務のテキストに書いてあるような事は知ってて当然というスタンスの人が多い
ので、自分である程度調べる事が必要になります。
勉強偏重せざるを得ない環境だったからか?コミュニケーションが苦手な人や、
変わった人、意地悪な人も多いですね。仕事をしながら税理士試験を受けてる人もいて、
イライラしているのかもしれません。仕事と勉強の両立はなかなかに大変ですので。
いやもちろん、全ての事務所がそうという訳では無いと思います。
きちんと業務の引き継ぎができて、仲が良い事務所も宇宙のどこかにきっとある、
あってほしい、とは思っていますが。
そのような大変さはあるにせよ、もちろん良い点もあります。
会計事務所・税理士事務所の経理業務は、お客様からお金をもらって行っている
メイン業務、いわゆる「フロント」になると思います。
「稼ぐ人」として扱われますので。
<職場編:事業会社の経理は軽んじられがち!?>
対して、事業会社の経理は「バックオフィス」「事務方」「間接部門」「コストセンター」と言われたりします。事業会社では、主に営業担当がお金を稼いできてますからね。
経理を含む事務部門は、そのお金から給料もらってんだろ、的な。
だいたい多忙で、企業経理がなぜ必要か分かっていないし、分かる気もない、
みたいな人もいます。
経理担当の仕事は、会社の収支や財産の状況を正しく把握し、
正しく上層部や関連機関や利害関係者に報告する、という事です。
(ベテランになると銀行などと資金調達、借入の交渉を行う事もあるでしょう。
その時にも、日々の処理をちゃんとやっている事が信頼につながる訳です)
「なぜこれが経費にならないんだ!」
(いやそんな私的なものを会社が払ったら給与とみなされて税金引かれますよ)
「なぜ会食の人数や同席した取引先を教えなくてはいけないんだ!」
(それ書いておかないと税務上の損金として認められない=税金上がるんですよ)
と、同じ社内の人からも反発する子供みたいな事を言われたりもしますが、
別にあなた達の行動に興味がある訳でもないし(コンプライアンス部門でもないので)
単に正しい処理をする必要があるだけです。経理担当がOKしても、
税務署さんとかがOKしてくれなければ、結局、会社に跳ね返りますからね。
と、いうような事を分かりやすく、売られてもケンカは買わずに淡々と
何度も説明する必要があったりします。
なので、経理でも度胸があったり弁の立つ人は意外と助かります。
頭が良くても、話すのが下手だと怯んじゃいますからね。
(こういう時のために日頃の勉強と情報収集は必要)
ちなみに、事業会社の経理の良い点は、
・大企業も多く、大体色々な部門があるのでコミュニケーションの取りやすい人が多い。
・会社事務所などと違い、自分の所属する会社を見ているので、
自社で何が起こっているのか大体分かる。
または、他部門にも事情を聞く事ができる人がいる。
だと思います。
<それでも経理は面白い>
ここまで、大変な点や気をつけるべき点について書いてきましたが、
まあ、どの職種にも色々とありますよね。
それでも、私は経理は面白い仕事だと思っています。
…何がって…??
守秘義務があるので、ほとんど何も言えないけど、面白さは資料の中にあります。
これ、やれば分かると思います。
疲れる事もたくさんあるのですが。
営業担当や店舗担当などの喜怒哀楽を涼しい顔をして眺めている訳ではなく、
ちゃんと数字や資料から感じ取っていますよ!
会計処理で就業時間中に悶絶し、夜寝てるときに夢でも考えてる人もいます。
お風呂に入っているときに「あの処理はこれだな!」と思いついたり。
ただ職種の特性上、常に冷静でいた方がいいので、とても事務的だったり、
職場でのリアクションが小さかったりもしますが。
「私、経理の仕事、向いてるかな…?」
やってみようかと思ったときにぶつかる疑問だとは思います。
これは個人的な意見ですが、
向いてるか向いてないかじゃなくて、やるかやらないか、です。
結局、何の強みを生かしてその仕事で生き残るのか、
やりたい理由が自分の中にあるのかが、続くかどうかの分かれ道だと思います。
気難しい先輩も多いので、ソリが合わないとかでクビになる事もあるかもしれません。
給料が安すぎて辞めたくなる会社もあるかもしれません。
そうしたら、他の会社をあたってみる、という事で経験年数を積んでいけば
いいんじゃないか、と私は思っています。
実際、ひとつの会社に留まらずに何社も見たことで逆にスキルアップしている人も
けっこういますしね!
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画像:Pixabay より
@solamiremi